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ビルオーナー・管理会社・防火管理者向け

消防設備を停止して
工事するときの注意点

スプリンクラー、自動火災報知設備、屋内消火栓などを停止すると、火災の発見・通報・消火・避難を支える機能が一時的に低下します。停止範囲、代替措置、関係者への連絡、復旧確認までを工事前に決めてください。

公開日:2026年7月31日最終更新:2026年8月4日執筆・運営:有限会社水越設備
結論:消防設備の停止は、工事作業だけでなく「停止中の安全管理」と「復旧確認」を含めて計画してください。

一般のビルオーナーやテナント担当者が、設備の系統や影響範囲を把握しないままバルブ、受信機、ポンプ等を操作することは避けてください。建物の用途・規模・所在地・停止範囲によって、工事中の消防計画、消防署への事前相談、代替措置の内容が異なります。

火災・煙・危険な状況がある場合:工事中かどうかにかかわらず、迷わず119番通報し、人命安全を優先してください。

BEFORE SHUTDOWN

停止前に整理する8つの項目

「何を止めるか」だけでなく、停止によって失われる機能、利用者への影響、復旧できなかった場合の対応まで決めます。

1

設備の種類

スプリンクラー、自動火災報知、屋内消火栓、誘導灯、非常警報などを特定。

2

停止範囲

建物全体、階、区画、系統、回路のどこまで影響するかを図面と現場で確認。

3

停止時間

開始・復旧予定時刻を決め、作業遅延時の連絡と継続可否を事前に設定。

4

建物の利用状況

営業中、入居中、無人、夜間など、停止中に建物内へ人がいるかを確認。

5

火気・危険物

溶接・溶断・火花・塗料・シンナー等の使用があるかを確認し、出火防止を強化。

6

代替措置

消火器増強、巡回、監視員、仮設警報、仮設誘導など必要な対策を検討。

7

関係者への周知

防火管理者、管理会社、警備、テナント、施工業者、点検業者の役割を明確化。

8

復旧責任者

誰が復旧操作・試験・最終確認・記録を行うかを工事前に決める。

EQUIPMENT IMPACT

設備ごとに失われる機能が違います

複数設備を同時に停止すると、火災時の発見から避難・消火までの複数段階が同時に弱くなります。

停止する設備主な影響停止前に確認すること
スプリンクラー設備自動消火・延焼抑制の機能が停止または低下停止する階・系統、バルブ、排水、消火器増強、巡回、火気禁止、復旧後の圧力・漏れ
自動火災報知設備火災の自動感知、受信機表示、館内警報、連動機能が停止または低下停止回路・区域、仮設機能、監視員、通報手段、連動設備、受信機復旧
屋内消火栓設備初期消火に使用する放水設備が使用不能停止階・系統、代替消火器、他の消火設備、ポンプ・弁の復旧
誘導灯・非常警報設備避難方向の表示、非常時の館内連絡が不十分になる可能性仮設照明・表示・警報、避難経路、停電時対応、利用者への案内
消火ポンプ・水源複数の消火設備へ水を送る機能に広い影響影響する設備全体、停止時間、代替措置、警報、電源、試運転と圧力確認

同じ設備でも、建物の系統構成によって停止範囲は異なります。図面だけでなく、現場のバルブ・受信機・制御盤表示も確認してください。

FIRE SAFETY PLAN

工事中の消防計画と消防署への相談

工事で通常の防火管理体制が変わる場合は、既存の消防計画だけでは対応できないことがあります。

東京消防庁の案内

設備停止を伴う増改築工事等

東京消防庁は、防火管理義務対象物で、消防用設備等の増設・移設工事により設備の機能を停止させる、または著しく影響を及ぼす場合などについて、工事中の消防計画を作成し、管轄消防署へ届け出るよう案内しています。

地域による違い

全国一律の手続とは限りません

届出名、対象建物、提出時期、添付資料、代替措置は自治体や建物条件で異なります。設備停止を決めてからではなく、工事範囲と工程が決まった段階で管轄消防署へ相談してください。

相談時に伝える内容

建物の用途・規模、工事場所、工事期間、停止する設備・区域・期間、代替措置、火気作業、避難経路、テナント営業状況、施工責任者、復旧確認方法を整理して伝えます。

ALTERNATIVE MEASURES

停止中に検討する代替安全対策

代替措置は、設備の種類と停止範囲に合わせて組み合わせます。次は一般的な例であり、個別建物の確定措置ではありません。

消火ポンプに異常が出たとき

警報、圧力低下、頻繁な起動、起動不良、異音・振動、漏水時の初動を解説します。

消火ポンプ異常時の対応
出火防止

火気を減らす

停止区域では溶接・溶断・喫煙等を避けます。必要な火気作業は可燃物除去、不燃シート、消火準備、監視を徹底します。

初期消火

消火器等を増強

スプリンクラーや屋内消火栓の停止時は、消火器の増強や使用可能な他設備の確認を行います。

早期発見

巡回・監視を強化

自動感知や自動消火が止まる範囲を重点的に巡回し、発見時の通報方法と連絡先を共有します。

警報・避難

仮設機能を確保

自動火災報知設備、非常警報設備、誘導灯等が使えない場合は、仮設配線・警報・照明・表示等を検討します。

避難経路

通路を確保

工事資材や養生で廊下・階段・防火戸・防火シャッターを塞がないよう管理します。

短時間化

停止を最小限にする

事前加工、材料確認、作業員配置、試験準備を済ませ、停止後に迷う時間を減らします。

横浜市の案内例:工事中にスプリンクラー設備等が作動停止する場合は、消火器を増強し、巡回を強化することなどが示されています。実際の対策は管轄消防署と協議してください。

COMMUNICATION

誰に、何を、いつ伝えるか

関係者共有する内容確認する役割
防火管理者・建物管理者停止設備、区域、時間、代替措置、火気作業、避難経路建物全体の安全管理、消防計画、テナント調整
警備会社・中央監視受信機・警報・ポンプ等の停止表示、開始・復旧時刻警報監視、巡回、異常時の連絡、復旧確認
テナント・入居者作業時間、立入制限、避難方法、火気制限、緊急連絡先従業員・利用者への周知、営業調整
消防設備施工業者図面、系統、作業内容、試験方法、復旧条件設備操作、工事、試験、記録、技術説明
管轄消防署建物条件、停止内容、工事中の消防計画、代替措置必要な相談・届出・安全措置の確認

WORKFLOW

停止を伴う工事の進め方

1

影響範囲を調査

設備図、系統図、現場表示を照合し、停止区域を確定。

2

安全計画を作る

停止時間、代替措置、火気、避難、連絡体制を決定。

3

消防署へ確認

工事中の消防計画、届出、協議の要否を確認。

4

周知して停止

関係者へ開始連絡後、設備を理解した担当者が操作。

5

工事・試験

代替措置を維持しながら施工し、必要な試験を実施。

6

復旧・記録

正常復旧を確認し、時刻・確認者・試験結果を保存。

設備停止を伴う工事は、工程が決まる前にご相談ください

停止範囲、配管工事、テナント調整、消防署への確認、復旧試験までを整理します。

RESTORATION CHECK

工事後の復旧確認

「作業が終わった」と「消防設備が正常に戻った」は別です。停止した設備ごとに確認し、関係者へ復旧完了を連絡します。

✓閉止・停止したバルブ、スイッチ、回路を正しい状態へ戻した
✓配管の圧力、漏れ、排水弁、ポンプの状態を確認した
✓受信機の停止・蓄積・連動停止・警報停止表示が解除された
✓感知器、発信機、ベル、誘導灯、連動設備等の必要な試験を行った
✓中央監視、警備会社、防火管理者、テナントへ復旧を連絡した
✓復旧日時、確認者、試験結果、写真、図面変更を記録した

当日復旧できない場合:自己判断でそのままにせず、建物管理者、防火管理者、警備会社、消防設備の施工業者、必要に応じて管轄消防署へ直ちに連絡し、継続する代替措置を確認してください。

OWNER CHECKLIST

オーナー・管理会社向けチェックリスト

✓停止する設備・階・系統・区域が図面で分かる
✓開始・復旧予定時刻と延長時の連絡方法を決めた
✓防火管理者・管理会社・警備・テナントへ周知した
✓火気作業、危険物、工事資材、避難経路を確認した
✓消火器、巡回、監視員、仮設設備等の代替措置を決めた
✓工事中の消防計画・消防署相談・届出の要否を確認した
✓設備操作・復旧・試験を行う担当者を決めた
✓復旧できない場合の対応と連絡先を決めた
✓復旧確認後に関係者へ完了連絡する
✓試験結果、写真、更新図面、作業記録を保管する

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FAQ

よくある質問

消防設備は工事のためなら自由に停止してよいですか?

自由に停止してよいものではありません。停止する設備、階・系統、時間、建物の利用状況、火気使用の有無を整理し、防火管理者、建物管理者、消防設備の施工業者と計画してください。建物の用途・規模・所在地・停止範囲によっては、管轄消防署への事前相談や工事中の消防計画の届出が必要になる場合があります。

消防設備を停止するときは消防署への連絡が必ず必要ですか?

全国一律に、すべての短時間停止で同じ連絡や届出が必要とは断定できません。東京消防庁は、消防用設備等の増設・移設工事で機能を停止させる、または著しく影響を及ぼす防火管理義務対象物について、工事中の消防計画の届出を指導しています。所在地や建物条件で扱いが異なるため、着工前に管轄消防署へ確認してください。

スプリンクラー設備を停止している間は何をすればよいですか?

停止範囲と時間を明確にし、火気使用を避け、巡回を強化し、消火器の増強など代替の安全対策を検討します。使用できるほかの消火設備がある場合は、その機能も確認します。必要な対策は建物条件で異なるため、消防設備の施工業者と管轄消防署へ確認してください。

自動火災報知設備を停止して工事できますか?

工事内容によって停止が必要になる場合はありますが、火災の早期発見と館内への連絡機能が失われるため、停止範囲を最小にし、仮設による機能確保、監視員や巡回、連絡方法などの代替措置を計画します。受信機の操作は、設備を理解した担当者が行ってください。

テナント営業中でも消防設備を停止できますか?

建物条件と停止範囲によっては可能な場合がありますが、利用者がいる状態では影響が大きくなります。営業時間外の施工、停止区画の限定、テナント周知、警備体制、避難経路の確保、代替措置を含めて検討し、必要に応じて消防署へ相談してください。

工事が終わったらバルブや受信機を元に戻すだけでよいですか?

元に戻すだけでは不十分です。バルブの開閉状態、圧力、漏れ、警報表示、受信機の復旧、連動機能、誘導灯、ポンプなど、停止した設備が正常状態に戻ったことを確認し、復旧時刻と確認者を記録します。必要な試験は消防設備士や点検資格者等が行います。

消防設備の停止時間は何時間までなら大丈夫ですか?

一律の安全な時間はありません。設備の種類、停止範囲、建物用途、利用者数、代替措置、火気作業の有無で危険度が変わります。停止時間は必要最小限とし、長時間や複数設備の同時停止を避け、復旧できない場合の連絡・対応手順も事前に決めてください。

工事前の相談には何を準備すればよいですか?

建物名・住所、工事場所、工事内容、停止する設備、階・系統・範囲、停止予定時間、テナント営業状況、火気作業の有無、消防設備図、系統図、工事工程表、関係者の連絡先を準備すると確認が進みやすくなります。

OFFICIAL SOURCES

参照した主な公式情報

設備停止、工事中の消防計画、代替措置、届出の扱いは、所在地と建物条件で異なります。最終判断は管轄消防署へ確認してください。

e-Gov法令検索|消防法 第17条消防用設備等を技術上の基準に従って設置・維持する基本規定
公式サイト ↗
東京消防庁|工事中の消防計画使用中建物の増改築工事等と、設備機能を停止・著しく影響させる場合の案内
公式サイト ↗
東京消防庁|工事中の消防計画作成(変更)届出書対象者、手続、様式、2026年4月改訂の案内
公式サイト ↗
東京消防庁|消防設備等の代替措置に関する作成例スプリンクラー、火災報知、屋内消火栓、誘導灯等を停止する場合の代替措置例
公式PDF ↗
横浜市|工事中の防火管理業務出火防止、危険物管理、避難経路、設備停止時の消火器増強・巡回強化等
公式PDF ↗
横浜市火災予防条例消防用設備等の設置・変更計画届出等に関する地域規定
公式サイト ↗
工事の届出と消防検査を確認

設備停止を伴う工事の着工前から復旧・消防検査までの流れを確認できます。

消防設備工事の届出・消防検査ガイドを見る →

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執筆・運営:有限会社水越設備

スプリンクラー消火設備工事、消防設備配管工事、テナント入替に伴う消防設備改修、設備停止を伴う配管工事、消防署への届出・検査対応の実務をもとに、ビルオーナー・管理会社向けに情報を整理しています。

監修方針:設備停止中の安全管理、工事中の消防計画、消防署への連絡・届出は建物条件と自治体運用で異なるため、公式情報を優先し、一律に断定できない事項は管轄消防署と消防設備の施工業者への確認を案内しています。

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